勉強は続かないのに、ランニングは続く
私には一つ、不思議に感じていることがあります。
毎日60分、勉強をしたいと思っています。
必要だとも思っていますし、続けられたらきっと良い変化があるだろうとも思っています。
それなのに、なかなか続きません。
一方で、ランニングは何年も続いています。
朝ランも習慣になり、月間距離の目標もほぼ達成できています。
同じ自分なのに、
・続く行動
・続かない行動
があります。
以前はこれを「やる気」や「意志力」の問題だと思っていました。
もっと強く決意すればいいのではないか。 気合が足りないのではないか。
そんなふうに考えていました。
しかし、少し立ち止まって観察してみると、 別の可能性が見えてきました。
もしかすると習慣は、 意志ではなく構造で回っているのではないでしょうか。
もしそうだとしたら、 続いている習慣には何か共通する条件があるはずです。
この連載では、
・型
・意味
・報酬
・成果予測
・環境
といった視点から、 習慣が続く仕組みを観察していきます。
ランニングと勉強で起きていた違い
では実際に、私の習慣の中で何が起きているのかを観察してみます。
同じ習慣でも、ランニングと勉強では起きていることがかなり違っていました。
習慣の違いを観察するとき、 私は次の4つの視点で見てみることにしました。
・身体
・感情
・思考
・行動
この4つの観点から整理してみます。
身体:身体感覚の違い
ランニングは、走り始めると身体が整っていく感覚があります。
呼吸が整い、身体が温まり、 走り終わるころには爽快感が残ります。
身体の感覚として、 「やると整う」という実感があります。
勉強は少し違います。
机に向かうまでに、 どこか重さのようなものを感じることがあります。
始めてしまえば問題ないことも多いのですが、そこに至るまでの抵抗が小さくありません。
感情:感情の違い
ランニングには、 気持ちが整う感覚があります。
自然の中を走る時間は、 リラックスの時間でもあり、自分を取り戻す時間でもあります。
ラン仲間と走ることもあり、 楽しさや共有の感覚もあります。
勉強は少し違います。
どちらかというと 「やった方がいい」という感覚が先に立ちます。
義務感に近いものがあります。
思考:成果の見え方の違い
ランニングには、 積み重ねが見える仕組みがあります。
ランニングアプリを使っているため
・走行距離
・タイム
・累積距離
などがすべて記録されます。
距離が伸びていきます。 タイムが少しずつ良くなります。
そうした変化が目に見えます。
勉強はそれに比べると、 成果がかなり曖昧です。
何をどこまでやれば成果なのか。 進んでいるのかどうか。
その輪郭がはっきりしないことが多いです。
行動:行動の型の違い
ランニングには「型」があります。
朝起きる→着替える→外に出る→走る
この流れがほぼ決まっています。
練習メニューはアプリで組み立てているため、何をするか、考える必要はほとんどありません。
勉強は違います。
今日はいつやるのか。 何から始めるのか。
その都度、判断が必要になります。
こうして観察してみると、ランニングと勉強の違いは 「やる気」ではなく、行動の条件の違いなのかもしれない、 という感覚が生まれてきました。
ランニング習慣の観察から、習慣を構造化してみる
観察した内容を整理してみると、 いくつかの構造が見えてきます。
A 状況:続く習慣と続かない習慣
ランニングは続いています。 勉強は続きません。
B 反応:意志の問題だと思っていた
その違いを、 「自分の意志の強さ」の問題だと感じていました。
C これまでの対処:気合と目標では続かなかった
続けるために
・気合を入れる
・目標を立てる
といった方法を試してきました。
しかし、それでも続きません。
D ズレ:ランニングには続く構造があった
ここで観察を整理してみると、 ランニングにはいくつかの条件が存在していました。
習慣を支えていた「5つの構造」
行動構造
型が行動を自動化する
型 / 習慣ループ
例)
朝起きる → 着替える → 外に出る → 走る
考える必要がない。
意味構造
その行為が自分をつくるものになる
ビジョン / アイデンティティ
例)
ランニング
→ 自分を整える時間
→ 自分をつくる行動
動機構造
行為そのものが報酬になる
即時報酬 / 内発的動機づけ
例)
走ると気持ちがいい
自然の中でリラックスできる
期待構造
やれば成長するという感覚
成果予測 / 自己効力感
例)
距離、タイム、走力、が可視化される
環境構造
人との関係が習慣を支える
仲間 / 関係性
例)
ラン仲間
励まし
共有
こうして整理してみると、 一つの仮説が浮かび上がります。
習慣とは、意志で続けるものではなく、 構造で回るものなのではないでしょうか。
習慣は「意志」の問題なのか、それとも「構造」なのか
今回の観察から、習慣には いくつかの構造がある可能性が見えてきました。
行動を起動する型、行動の意味、 行動そのものの報酬、成果が見える仕組み、 そして、環境です。
この連載では、習慣化の
・型
・アイデンティティ
・報酬
・成果予測
・環境
といった視点から、習慣が続く仕組みをもう少し丁寧に観察していきます。
もし今、続かない習慣があるとしたら、それは本当に 意志の問題なのでしょうか。
それとも、構造の問題なのでしょうか。
少しだけ視点を変えて、 自分の習慣を観察してみると、新しい見え方が生まれるかもしれません。
エクササイズ|続く習慣と続かない習慣を観察してみよう
・続いている習慣
・続かない習慣
それぞれについて、下記を観察してみよう。
行動の型
報酬
成果の見え方
環境


